こんにちは。虎の穴ラボのT.Hです。
秀和システム様より出版の「やさしいMCP入門」を読了しましたので、内容をご紹介したいと思います。
書籍情報
項目 | 内容 |
---|---|
著者 | 御田 稔 / 大坪 悠 |
発行所 | 株式会社 秀和システム |
発行日 | 2025/07/15 |
ISBN | 978-4-7980-7573-0 |
ページ数 | 160ページ |
価格 | 1,760円(税込) |
きっかけ
AI活用の文脈でよく聞くようになった「MCP」について、実際のところ導入すると何が嬉しいものなのか理解できていませんでした。
いざ勉強しようとすると視点も粒度も異なる情報が多く、自力で整理するのは一手間かかると思っていたところ、4月頃に本書の著者である御田稔さんの同名のスライドが話題になっていたことを思い出し、文字通り入門書として手に取りました。
どんな本か
本書はMCP(Model Context Protocol)の成り立ちから将来の展望までを網羅的に解説した入門書です。
全体の半分程度が図表による説明に割かれているため、非エンジニアや初学者の方でも理解しやすい構成です。
Chapter1〜9の全9章で構成されていますが、さらに大枠として「MCPの基礎知識(Chapter1〜3)」「エコシステム(Chapter4〜7)」「MCPの展望(Chapter8〜9)」の3部構成と捉えることもできます。
開発者として公式ドキュメントにあたる前に大枠を掴みたい場合はChapter1から、詳細は置いておいて今すぐ活用してみたい場合はChapter4から読み進める、というような需要に合わせた活用方法もできそうです。
- MCPの基礎知識(Chapter1〜3)
- MCPの概念
- MCPを取り巻く用語の意味
- MCPの使い方(ハンズオン)
- エコシステム(Chapter4〜7)
- Claude DesktopやDifyなどのMCPクライアントの活用
- SlackやPlaywrightなどのMCPサーバーの活用
- MCPの展望(Chapter8〜9)
- MCPが生み出すビジネスインパクト
- ロードマップ
本書で学んだこと
MCPが解決する課題
MCPがなぜ必要とされているのか、その背景を開発者とツール提供者の両方の視点から理解できました。AIアプリ開発者にとっては「Googleドライブから情報を取得する」といった汎用機能を毎回実装する手間を省け、ツール開発者にとっては言語やフレームワークの違いを気にせずツールを普及させられる、という双方の課題を解決するための規格である点が腹落ちしました 。Function callingとの違い
当初は「LLMからツールを動かすならFunction callingと同じでは?」という疑問がありましたが、MCPはあくまで「LLMとツールを繋ぐ方法のひとつ」であり、MCPという共通ルールを決めることでFunction callingがより活用しやすくなる、という関係であることがよく理解できました。ビジネスにもたらす具体的な変化
MCPによって業務の自動化が進むだけでなく、より具体的なビジネスインパクトがもたらされることが学びになりました。特に、専門家でなくてもデータの加工や分析ができるようになる「データの民主化」 が起こることや、AIがワークフロー作成を代替することで業務自体をAIフレンドリーに見直すことができる人材が求められるようになる、といった視点は新たな気づきでした。新たな技術だからこそのセキュリティリスク
便利な規格である一方、考慮すべきセキュリティリスクについても学べました。ツールの説明文を改ざんして機密情報にアクセスさせる「ツール汚染攻撃」 や、認証情報がMCPサーバーに集中することのリスクなど、今後MCPを活用していく上で注意すべき点をあらかじめ知ることができました。
こんな人にオススメ
- MCPという言葉だけ聞いたことがあるが、まだよく知らない
MCPとは何の略?という初歩的な疑問から、その仕組み、具体的な活用例までが網羅的に解説されています。MCP初学者の方がまず全体像を把握するための一冊目として、自信を持ってオススメします。 - AIのビジネス活用を検討している
MCPによる「業務の自動化」や「ノーコードツール活用方法の変化」といったビジネスインパクトについてイメージを掴むことができます。技術的な詳細よりも活用方法や将来性を知りたい方にもぴったりです。
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