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RAG や LangChain の前に!『生成AIのプロンプトエンジニアリング』を読んで

こんにちは。虎の穴ラボの古賀です。
社内の技術書購入支援制度を活用して『生成AIのプロンプトエンジニアリング ―信頼できる生成AIの出力を得るための普遍的な入力の原則』を読みました。

生成AIのプロンプトエンジニアリングの書影

良い本でしたので、本書の感想と、その中で良かったところや気になったところをご紹介します。ぜひ、RAGやLLMを使ったアプリケーションを構築する前に読むことをオススメします。(1年前にこの本があれば、、、、)

どんな本か

生成AI(テキストと画像)の出力を安定させ、再現性ある品質に近づける「入力(プロンプト)の原則」を、実践的に学べる本です。
テキスト生成に偏らず、画像生成にも触れており、「モダリティ(テキストや画像といった情報の種類)が変わっても通用する考え方」を軸に据えています。構造化出力、要約・チャンク化戦略、RAGの設計、LangChainの活用など、実務でそのまま効く要素が多めです。

一点、付記しておくと、本書の内容をフルで手を動かして試すには、OpenAI API などのクラウドAPIや、有料の画像生成(Midjourney)または Stable Diffusion を回せるGPU環境が必要になります。読むだけでも学びはありますが、ハンズオンは環境前提です。

基本情報

タイトル 生成AIのプロンプトエンジニアリング ―信頼できる生成AIの出力を得るための普遍的な入力の原則
著者 James Phoenix, Mike Taylor
監訳 田村 広平、大野 真一朗
砂長谷 健、土井 健、大貫 峻平、石山 将成
発行 オライリー・ジャパン

www.oreilly.co.jp

オススメする読者層

  • これから生成AIを業務で使い倒したいエンジニア、データ/MLエンジニア、PdM
  • RAGやデータ抽出、要約基盤を作っている人
  • LLMの振る舞いの「なぜ?」を腹落ちさせたい人
  • LangChainでプロダクション品質に寄せたい人
  • 画像生成も含めて統一的にプロンプト設計を考えたい人
  • LLMを使ったアプリケーションを構築したい人!

完全な再現にはAPI課金やGPUが必要なため、手元の環境がある程度整っている中級者以上に特に向きます。超入門者の方は、まずは無料のPlaygroundや軽量なローカル環境で基本を掴んでから、2〜3冊目として本書に進むのが良いと思いました。

著者、訳者について

著者は James Phoenix 氏と Mike Taylor 氏。監訳は田村 広平氏・大野 真一朗氏、翻訳は砂長谷 健氏・土井 健氏・大貫 峻平氏・石山 将成氏です。

翻訳がとても丁寧で、以下が印象的でした。

  • 単なる直訳にとどまらず、補足説明や「うまく動かない場合の注意点」が入っている
  • コード中の英語プロンプトまで日本語併記されており、文脈を追いやすい
  • 違和感のある翻訳はほぼなかった

構成について

本書は、原則を学び、モダリティを跨ぎ、実装に落とし込む、という流れで読み進められます。細かな内容はぜひ本書で味わってほしいのですが、雰囲気だけ。

  • 原則編:信頼性を上げるためのプロンプト作法
    例:タスク明確化、制約と出力形式、分解・逐次化、検証・自己反省の使いどころ など
  • テキスト生成編:構造化出力と評価の入口
    YAML/JSONによる構造化、モデルに依存しすぎない設計、軽い評価・検証の回し方
  • 要約・チャンク化編:長文を扱う戦略
    チャンク設計のメリット/デメリット、階層要約、品質とコストのバランス
  • LangChain編:テンプレート、パーサー、チェーンの実践
    プロンプトの構造管理、パーサーを自作しない恩恵、外部データ取り込みとツール連携
  • RAG編:ベクトルとクエリの設計
    密/疎ベクトルの使い分け、クエリ拡張や自己クエリの考え方、精度と再現率の折り合い

今回はこのうち、テキスト生成編〜RAG編のあたりが特に印象的で勉強になりました。

良かったところ

翻訳が実務に寄り添っている

翻訳で追加されたと思われる補足や注意書きが有り、実際に手を動かしたときに詰まりやすいポイントが先回りでフォローされています。英語プロンプトの日本語併記も親切です。また、よくある翻訳文に対する言い回しの違和感はほぼありませんでした。

モダリティが変わっても通用する「原則」が軸

テキストと画像を並べて扱い、「なぜこの書き方で安定するのか」を共通言語で理解できます。現場で説明・共有しやすいのが助かります。

LLMの振る舞いに納得感が出る

「なぜ期待通りに動かないのか」「どう制約をかけるべきか」への答えが積み上がっていきます。ブラックボックスに踏み台をつけてくれる感覚。

構造化出力とYAMLの実践

モデル側の「揺れ」を前提にしつつ、YAML/JSONで揺れを抑える設計の勘所がまとまっています。自力でのパースを避けるヒントが多いです。

要約・チャンク化の現実解

粒度設計、段階要約、評価の落としどころなど、コストと品質の折り合いをつける戦略が整理されています。

LangChainの要点を短距離で掴める

テンプレート、パーサー、チェーンの役割がクリア。データローダーやツール統合、エージェントまわりの導線も示され、品質の良いLLMアプリを効率よく作る道筋が見えます。

RAGの設計視点がバランス良い

密/疎ベクトル、クエリ拡張(自己クエリなど)といった「検索側の工夫」に焦点が当たり、RAGを一段引き上げるヒントになります。個人的に色々とRAGを構築して試したい気分になりました。

気になったところ

  • 実践には環境コストがかかる OpenAI APIやMidjourneyの課金、あるいはStable Diffusion用のGPUが必要。読むだけでも価値はありますが、ハンズオンは準備が要ります。
  • 参照するAPIやモデルがOpenAI中心 書かれた時期の背景もあり、Gemini/Claudeの扱いは少なめ。これらは各社の公式ガイドも併読すると良い場面もあります。
    参考:OpenAI Prompt EngineeringAnthropic Prompt EngineeringGoogle(Gemini)Prompting
  • 一部記述は時代の進みで古びる可能性 モデルや機能の更新が速い領域なので具体的なAPI仕様は最新版ドキュメントの確認が必要です。原則部分は今も有効と思います。

まとめ

「普遍的な入力の原則」を背骨に、テキストと画像、RAGとLangChainまでを一気通貫で見渡せるかなりの良書でした。ページを追うごとに、LLMの手なづけ方が具体化していく感覚があります。また困った時に本を引きたいと思えます。

あわせて読むと良い関連資料(最新情報のキャッチアップ用):

cookbook.openai.com

最後までご覧いただきありがとうございました。

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