皆さんこんにちは、虎の穴ラボのH.Kです。
オライリー書評シリーズは、今回で第8弾になります。
(前回の書評はこちら)
その他のオライリー書評はこちらになります。
今回の記事では、2020年6月のオライリー定期購読で届いた、『行動を変えるデザイン』を読んだので感想を書きたいと思います。
どんな本か
基本情報
タイトル | 行動を変えるデザイン |
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サブタイトル | 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する |
著者 | Stephen Wendel |
監訳 | 武山政直 |
訳 | 相島雅樹、反中望、松村草也 |
発行日 | 2020/06/11 |
発行 | オライリー・ジャパン |
ISBN | 978-4-87311-914-3 |
紹介ページ | 行動を変えるデザイン(オライリー・ジャパン) |
書かれていること
プロダクトによる行動変容を達成するために、「行動とはなにか」にフォーカスしながら、ユーザーにプロダクトを使ってもらうための視点や知識について書かれています。
本書は全6部構成となっており、それぞれの概要をまとめると以下のような感じでした。
第Ⅰ部 心の働きと行動変容を理解する
ユーザーが行動までにどのような心理的なフロー、考えを経るのかを行動経済学や心理学の研究をベースに解説しています。
また行動変容もたらすために3つの基本的な戦略を提示しています。
第Ⅱ部 適切な成果、行動、アクターを見つけ出す
「何を達成したいのか」と「誰に達成してもらいたいか」の2つの軸でプロダクトに対する想定ユーザーを明確にするためにとるべきアクションが書かれています。
プロダクトを使う中でユーザーが取りうる行動を洗い出し、実用最小限のアクション(MVA)にフォーカスすることで、改善の足がかりが得られることを示しています。
第Ⅲ部 コンセプトデザインをつくる
目的の行動までのステップをすべて書き出したものであるビヘイビアプランを作成することで、詳細を分析し、ステップの中で自動化が行える場所や離脱が起こりそうな場所を俯瞰して見ることができるようになるとしています。
全体を俯瞰した次の作業として、プロダクトを使って行動してもらうためのフィードバックや教育を確認し、ビヘイビアプランを修正します。このビヘイビアプランをベースに効果的なアプリケーション設計につなげることができると述べられています。
第Ⅳ部 インターフェースをデザインし、実装する
ここからは実際にプロダクトの設計を行うフェーズに入ります。
いくつかのデザインパターンが紹介と、それらをどのように選定していったらよいか、そして決まったものをプロダクトに落とし込む際の注意点が書かれています。
またデザインパターンを元に作ったデザインをブラッシュアップする戦術や避けたほうが良い方法が示されています。
第Ⅴ部 プロダクトを改善する
プロダクトを改善していく手法について書かれています。
世に出したプロダクトがどれだけ効果的で、よりよくするにはどうしたらよいかを効果の評価と課題の見つけ方、課題に対するアイデア、そして変更した後の効果測定の方法が明らかになっています。
第Ⅵ部 実践に投入する
この本を読んでいく中で生じる質問への回答とここまでのまとめのような内容が書かれている部です。
また日本語版には付録として日本国内における行動変容デザインの例として具体的なプロダクトが提示されており、本書内で紹介されたものを当てはめたときになぜ成功したかが対応するように書かれています。
読んだ動機
まず私はプログラマであってUXデザイナではありません。
しかしプロダクトを作るに当たって、ユーザーが使うことを想定した実装を行うためにはUXの知識を持っておくに越したことはありませんし、とらのあなラボではエンジニアが自ら提案する土壌があるため、プロダクトに活かしていけると思ったため、この本を手に取りました。
全体の感想
専門的な用語がいきなり出てくることがなく、用語の意味はちゃんと説明されているため、前提知識を必要とせずに読めます。
前半では人々が行動を行う際のいろいろな要素についての研究が出てきて、雑学を蓄える意味でも面白い本だと思いました。
このあたりの内容については、本書と同じくオライリー・ジャパンの『インターフェイスデザインの心理学』、『続・インターフェイスデザインの心理学』にも紹介されているので、興味があれば、そちらを手にとってみると良いと思います。
また、この本を読みながら感じていたことは任天堂のリングフィットアドベンチャーの大ヒットです。
行動変容に必要な要素として紹介されているものが、綺麗に適用されており、まだ自分のプロダクトに組み込んでいないにも関わらず、絶大な効果を実感することになりました。
リングフィットアドベンチャーは「家で手軽に実施でき」、「やるべきことはゲームから提示され」、「すぐにわかる成果がフィードバックされ」、「成果をシェアすること」ができます。
これはこの本で語られていることそのままだと関心しました。
まとめ・活かしたいこと
この本を読むと、ユーザーの行動を変容させるためのアイデアを数多く得ることができます。
身近な例だと設定値にデフォルトを設定しておくことなどです。
これによりライトユーザーは細かい設定を行わずにプロダクトを利用することができ、詳細がわからないユーザーにもプロダクトを使ってもらうことが可能になります。
プロダクトを新規で作ったり既存のプロダクトを修正、機能追加していったりといった際には、本書で学んだ手法をもとにユーザーに継続的に使ってもらえるアイデアを提案して良いプロダクトを作っていきます。
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