虎の穴開発室ブログ

虎の穴ラボ株式会社所属のエンジニアが書く技術ブログです

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今すぐ読むべき万人におすすめできる本「エンジニアリングマネージャーのしごと」

CTOの野田です。

今やっている全ての仕事を止めてでも読むべき本(orメンバーに読んでもらいたい本)というのはたまにあり、それがコーディングに関してはリーダブルコードだったりしたのですがマネジメントに関しての決定版が出たと個人的に思っています。発売してから数日で8割読み切りました。

www.oreilly.co.jp

基本情報

  • 8月26日(金)発売
  • 本章350Pで結構分厚い
  • 3,740円

お薦めできる理由

  • マネジメントから 1on1、評価、採用、退職対応 まで全てを網羅している
  • 難易度が高くない
  • 読みやすい(翻訳書だが日本語がわかりやすい)
  • 明日から実践できる
  • 内容が抽象的でない(少なくとも主要である前半から中盤は)
  • どの章からでも読めるように作っている
  • マネージャーがやってはいけない事が適切に書いてある
  • 文章が面白い
  • 章のサマリがあって、それを見るだけでも本の振り返りができる

最近自分が読んだマネジメント関連本の中での難易度比較

最近自分が読んだマネジメント書籍のなかでの難易度という意味なのであまりにも個人的感想ですが参考になればと思います。

  • エンジニアリングマネージャーのしごと => 実践的、難易度易
  • 心理的安全性の作り方 => 一部抽象的、難易度中
  • エンジニアリング組織論への招待 => 学術的、難易度高

www.amazon.co.jp

gihyo.jp

どんな人向けの本なのか

本書では新人マネージャーはまず強く対象として推薦していますが、ベテランマネージャーは振り返りとして使ってくださいというニュアンスで書かれています。マネジメントに関して体系的にまとまっていますので、ベテランマネージャーにとっても役に立つ情報は満載だと感じました。

お薦めの読み方

3部構成で

  • 1部 1~2章 P1-P34
  • 2部 3~9章 P35-P172
  • 3部 10~18章 P173~P350

となっています、2部までが基本的で最低限必要であるマネジメントの手法がかかれていますので時間がなくてもまず1〜2部を熟読して実践していくのが良いと思います。

本の要約 1~9章のみ

どんな素晴らしい本かを感じとってもらうためなのと、自分なりの理解のまとめのためにメイン部分と感じている1部から2部(1章〜9章)から自身が重要だと思った部分をまとめておきます。 本当に一部分ですのでいますぐ書店で買って読んでください

4つのカテゴリーでまとめています

  • (概要) 本の内容をまとめてます
  • (用語) 覚えておくと章の内容の理解が深まる用語を書いています
  • (Action) 明日から使えるアクションです
  • (テクニック) マネジメントの手法です
  • 青字 私の注釈・感想

はじめに

(概要) テック業界におけるマネジメントの問題は、マネージャーになる人たちの多くが生涯をかけてマネージャーになろうと計画しているわけではないこと。 正式な教育をうけずに、仕事をしながらその役割にいつの間にかなって見様見真似でやっていくしかなくなる。

1章 新たな冒険

(概要) 今日から新しい会社に入って、マネージャーの役割になった人を”あなた”と見立ててまずやるべきことはなにか?をガイドしている章

(用語) インポスター症候群(詐欺師症候群)= 自分をよりよく見せようとする行為を自身を詐欺師のように思ってしまう症候群。

(Action) 週次1on1を予約しよう

(Action) チームに対しての課題点などの見解のスナップショットを作成する。後から振り返るために定期的にスナップショットをとって変化を分析する

  • 自身からみての課題点
  • チームメンバーからみての課題点
  • 上司からみての課題点

2章 まず自分を管理しよう

ドラッカー名著集1 経営者の条件」にも人を管理するならまず自身を管理せよと書いてある

(概要) カレンダー、TODOリスト、メール受信箱、情報を記録する場所 について書かれてある

(テクニック) カレンダーとTODOリストは違う、カレンダーにTODOをかかない

(テクニック) TODOリストは自身にとっての唯一のタスクリストであるべき、朝と夜必ず見る習慣をつける

(Action)マネジメントの活動を4つのバケツに分類する

  • 情報収集
  • 意思決定
  • ナッジング
  • ロールモデル

記録するツールを作るかスプレッドシートで上記を記録できるようになると良い、自身のすべての行動をこの4つのバケツに入れて分析をする

(用語) 情報収集=ここではチームメンバーの情報や誰が何が得意か?他部門の情報などを広く知ることとしている

(用語) 意思決定 = マネージャーの仕事の疑いようのない一つ
(用語) ナッジング = 議論に対して自身の観点を提供することで、決定に影響を与えること
(用語) ロールモデル = 同僚やスタッフに言うべきことを言いさらに 自身の行動で示すこと。

(概要) マネージャーとしてのアウトプットを図るには

 マネージャーのアウトプット=あなたのチームのアウトプット+あなたが影響をあたえた他のチームのアウトプット

上記はかなり重要で何度も本書ででてくる

3章 人間と関わる

(テクニック) MTGでフラストレーションがたまったら次のMTGにそのまま参加せずに正直にメンバーに伝えて一呼吸休もう

(用語) 「2回図って、1回切る」(大工の木材を切るときのことわざ)= マネージャーの言葉は重いので情報を発信する際に2回考えて発言する

(概要) タスクの委譲について

  • まったく委譲できていない場合ー>すぐ行うこと
  • 丸投げの場合ー>タスクの説明責任は放棄しない、委譲したものがどうなったかは把握して管理すること

タスクの委譲についての問題を明文化しているいい例。 委譲についての注意点ややり方について詳しくかかれている

(概要) 上司とチームのパフォーマンスについて話す、チームのサマリーを毎週おくって議論する (4つのP)

(用語) 4つのP

  • 進捗 Progress
  • 問題 Problems
  • 計画 Plan
  • 人 People

4章 1on1

(用語) コントラクティング = 最初の1on1で扱う単純な質問一式。 あなたと部下が期待することについての会話を誘発するもの。 一方方向にならずお互いに話す

(テクニック) 1on1のアジェンダをGoogleDocで用意する

(用語)「アンドンの紐を引く」= 異常を感じたら製造ラインを止める紐のこと。ここでは1on1時にどちらかが不快に思ったら会話と止め理由を適切に尋ねることを言っている

(テクニック) 1on1の結果はメモをとり、マネージャー自身が(スタッフの問題解決のために)具体的なアクションに起こすのを管理する

5章 その人に合った仕事とは

(用語) 「マズローの欲求階層」下から、生理的欲求、安全欲求、愛と所蔵の欲求、承認欲求、自己実現欲求

(テクニック) スキルツリーを作成する。例えば「国際的なカンファレンスで発表したい」というゴールに向かうために必要なことをロジックツリー的なのに書き出す。まずは地方のカンファレンスで発表するなど。

6章 1年でいちばん輝かしい季節

(概要) 評価面談の話

(テクニック) 評価面談は当日のサプライズであってはならない。評価面談時にスタッフは自身のパフォーマンスについて理解できている状態でなければならない。

(テクニック) 評価面談と昇給通達は同じ時間ではあってはならない、パフォーマンス(評価)のみ話す

(テクニック) ピアフィードバックを導入する。360度評価のようなもの

7章 採用中!

(テクニック) 自分と似たような人を探してはいけません。チームに欠けている能力を分析して採用する

(テクニック) 素晴らしい職務記述書を書く

  • なにをしている会社なのか?
  • 仕事内容は?
  • どのようなポジションを求めているのか?
  • 会社は世の中に対してなにを実現したいのかなどのミッションを書く

(テクニック) 候補者を技術的な質問で丸焼きにすることが1次面接の目的ではありません。

8章ゲームオーバー

(概要) スタッフの退職についてかかれてある
(概要) 人が去るのは普通のこと

9章 友人を作り、人に影響を与えるには

(概要) チームを超えて会社の中でネットワークを作り会社全体にマネジメントの活動を広げていくことが書かれてある。

(用語) 「メンタリング」 誰かに対して具体的なアドバイスをして、特定のスキルを教える

(用語) 「コーチング」 他の人が自分で問題を探って解決策を見つけるのを助ける

10章以降

今すぐ買ってよんでください

www.oreilly.co.jp

本全体に対しての感想

  • 目新しいことが書いてある本ではない、それぞれの章の内容は詳しい専門書があったり似たようなことを書いてある本はたくさんある。
  • 体系的にエンジニアマネージャーについて必要なことを0から100までまとめていることが本書の価値。
  • 体系的にマネジメントという行為を文章化していることに価値があり、それが大事なことに気付かされた本。
  • 会社独自のマネジメントガイドがない場合は本書がそのまま原典になりうるポテンシャルがある。(もちろん変更や解釈は必要だが)

本書をこう使いたい アイデア集

  • 社内で本書を使いマネージャー層や新人マネージャーでマネジメント勉強会を実施
  • 「マネジメントの活動を4つのバケツに分類する」を記録するツールを作成するかスプレッドシートを作って自身やマネージャー層の活動分析を行う
  • 本書から実践すべき項目を抜き出し毎月実践できているかのチェックシートを作成する
  • 本書から自社に最適化された「マネージャーマニュアル」を作成する

実践してみた例

チェックシートはこのようなものを作成する

まとめ

新人マネージャー

今すぐ作業を止めてこの本を読みましょう(上司に相談して時間をもらってください)

悩めるマネージャー

今すぐ作業を止めてこの本を読みましょう(上司に相談して時間をもらってください)

ベテランマネージャー

何が自分はできていて、何ができていないかを振り返るためにこの本を使いましょう。

神マネージャー

「自分は全部できている!」と思う方は自社向けにマネジメントを体系化したマニュアルを本書を参考に作ってみましょう。そして是非公開してください。

www.oreilly.co.jp

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