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『Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』を読んでの感想

※本記事は予約投稿です

こんにちは、虎の穴ラボのnsdです。

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この記事は虎の穴ラボ Advent Calendar 2021 19日目の記事です。
18日目はおっくんさんによる『Deno の React アプリケーションフレームワーク Ultra を紹介します!』でした。
20日目はいわみーさんが『 PMBOKガイド 第7版に付属する『プロジェクトマネジメント標準』を読んでの感想』という記事を書く予定です。
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今回は『Team Geek』を読んだので、その感想を書いていきたいと思います。

書籍情報

  • タイトル:Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
  • 発行日 :2013年7月19日
  • 著者  :Brian W. Fitzpatrick, Ben Collins-Sussman
  • 訳者  :角 征典

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概要

「技術マニュアルではない」

タイトルから、「Googleのエンジニアがチーム作りにおいて使用しているルールが書かれていたり、ソフトウェアで解決していることを紹介してくれるのかな?」と思ってしまうかもしれません。

しかし、本書はそういった既定の手続きで解決することを記載してはいません(そういった数式に当てはめてチーム作りが解決するほど人間関係というものが簡単ならよかったんですけどね。。)

本書は「エンジニアが他人とうまくやるコツ」が書かれており、著者も「エッセー集のように読んでほしい」と記載しています。

こんな人へ

「管理職になってしまった人にも」

本書は「ソフトウェア開発者」をターゲットとしています。「いち開発者がチーム作りなんて」「管理職になってからでいいや」と思われるかもしれませんが、会社に長くいるとリーダーやマネージャーになってしまう場合があるからです。

そのため、これから管理職になるであろう全てのエンジニア、そして既に管理職になってしまったエンジニアにもおすすめです。

印象に残ったこと

私自身が最近管理職となったばかりであり、チーム構築において本書は大変参考となりましたので、 印象に残ったことを記載します。

①読みやすい

いきなり本書の内容以外の感想となりますが、この本はとても読みやすいです。

普段ラノベやゲームのストーリーを読んでいていも、技術書やビジネス書をあまり読まない自分にとって、堅苦しく独特の言い回しがある(と感じられる)本はなかなか読み進むことができず、読んだとしてもなかなか頭に入ってきません。

しかし本書は文章自体が柔らかくカジュアルに書かれていたり、著者の体験談を例としてわかりやすく説明があり、さくさくと読めます。

②HRT

  • H:Humility(謙虚)
  • R:Respect(尊敬)
  • T:Trust(信頼)

本書で常に心掛けるように言われるのがこのHRTの三本柱です。これらを心掛けることで人間関係を円滑にし、健全な対話の基盤となると書かれています。
もちろんチームで仕事をする際に、これらに気を使わない人はいないと思います。しかし、大事なのは単純にこれらの言葉通りのことを実践するのではなく、その先にある「人間関係」なのだと感じました。

本書の例として、チームメンバーと日ごろから仲良く接することで、自分が困ったときにメンバーが時間を使って助けてくれた、という事例がありました。これこそがHRTによる人間関係の円滑化なのではないでしょうか。

③サーバントリーダー

管理者への心がけの1つとして「サーバントリーダーシップ」というものがありました。
管理者はサーバント(召使、執事)になり、エンジニアでは解決できない問題の対処をしたり、チーム内の意見を調整したり、夜遅くにチームの夜食を買いに行ったり(?)することなのだそうです。
つまり管理者はメンバーを管理・コントロールするのではなく、メンバーの作業が円滑に進むように作業を行うということです。

この考えは、新米管理者であり何をしたらいいのか迷っていた自分にとって1つの方向性として参考となり、常に心掛けていくものとなりました。

④行動要請のテクニック

本書では人間関係だけでなく、業務を進めるうえでのコツも多く記載されています。
そのうちの1つとして、有用性を感じたのが「3つの箇条書きと行動要請」です。

本書では「忙しい経営者」相手に、状況を説明する箇条書き3つと、相手に何をしてほしいかを1つ書くことで、相手に時間を取らせずメールを読んでもらい返信をもらう方法として記載されています。
経営者だけでなく、問い合わせへの回答や他部署・他チームとのやりとりにも有用なためチーム内で取り入れています。

例)
1 :業務用端末の動作が遅いです😅
2 :Web会議がカクカクです😥
3 :メモリが4Gしかありません😭
要求:新しい端末をください😖

最後に

メンバーを尊敬・信頼し自身は謙虚であることは一見簡単なことのように感じますし、本書の事例にあったようにチームメンバーを助けるのは当たり前のことかもしれません。
ですが、長時間だったり自身の業務を置いてとなると難しい場合もあると思います。それでも「この人のためなら」という関係を築くのは、フルリモートワークとなり直接的なコミュニケーションが減った弊社にとって大事なことだと感じました。

HRTの考えをチーム全体で共有することで、より意識を向上させ、効果を発揮させていきたいと思います。