こんにちは、虎の穴ラボのH.Kです。本記事は虎の穴ラボ2024年夏の連載ブログ 17日目の記事です。次回はKanonさんによる「 日々の進歩をふりかえるために"今日の学びブログ"を続けている話」が投稿される予定です。ご期待ください!
4週目のテーマは「エンジニアの学習法特集」です!虎の穴ラボのエンジニアがどのように学習を進めているのかを紹介していきます。
この記事では目標をベースに学習を進めていくためのマインドセットを紹介します。
目標と学習
目標設定と言うと「ウッ」となってしまうエンジニアもいるかもしれません。しかし、継続的な学習を行う上ではけっこう重要な要素となります。
一言にエンジニアの学習と言っても様々な方針があります。例えば、「目についた技術をキャッチアップする」であったり、「IPAの資格試験に向けて本を読む」であったりです。
前者は着手時点ではあまり目標のない学習、後者は目標の明確な学習と言えます。最新技術を学び、知識の幅を増やす意味で、目標のない学習も重要です。しかしながら、時間が限られる中で学習を進めるにあたっては目標を持って学習するほうが良いことも多いです。
ここまでは「それはそうだよな」って思っていただける内容かと思います。しかしながら、実際に目標を立てて、学習していこうと思うと悩むことが多いです。
目標をどう決めていくか
目標を決めていくにあたって、大きく2つの方法があります。1つは「バックキャスティング」、もう1つが「フォアキャスティング」です。それぞれ見ていきます。
バックキャスティングによる目標設定
バックキャスティングは「理想の姿」を考え、そこから逆算して、「実現方法はなにか」と考えていく思考法です。目標設定に当てはめると「1年後にエンジニアリングマネージャーになる(=理想の姿)」ために「オライリーの『エンジニアリングマネージャーのしごと』を読む(=実現方法)」のようになります。
自分の理想ベースで進めていくのでモチベーションを維持しやすく、いろいろな可能性を見て目標を設定できますが、その分、適正の問題や周囲の期待との乖離が生じる可能性があります。
フォアキャスティングによる目標設定
一方でフォアキャスティングは、「過去の実績」を整理し、そこから「実現可能な未来」を考えていく思考法です。目標設定に当てはめると「過去の案件で、QCDの調整がプロダクトオーナーとスムーズにできた(=過去の実績)」ので「エンジニアリングマネージャーを目指す(=実現可能な未来)」のようになります。
実績ベースであるので本人のスキルセットや周囲の期待と地続きであることが多く、短期的な成果を出しやすいです。しかし、本当に自分のやりたい目標が立てられなかったり、大きすぎる最終目標を目指しにくかったりします。
最終目標とマイルストーン
目標の立て方を2つ見ましたが、バックキャスティングは中長期的な目標設定に向いており、フォアキャスティングは短期的な目標設定に向いているという特性があります。その双方をうまく目標設定に活用する方法が「最終目標」と「マイルストーン」に目標を分割する考え方です。
最終目標に対して、そこに至るまでに達成する課題をマイルストーンとして設定していきます。マイルストーンの設定方法についてもいくつかやり方があるので、今回は2つ紹介します。
クリニカルラダーの考え方
看護分野では「クリニカルラダー」という目標設定があります。これは看護師のキャリアパスを5つのレベルにわけて、能力ごとに達成度を計測、明確な目標のもとでスキルアップするというものです。
エンジニアのスキルアップについても同じように「ラダー」を作ることができます。バックキャスティングで「エンジニアリングマネージャーを目指す」ことにした例を考えてみます。
広木 大地さんの記事では、エンジニアリングマネージャーは4つの領域を持っているとしています。 qiita.com
この定義にラダーを設定していきます。
レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 | レベル5 | |
---|---|---|---|---|---|
テクノロジーマネジメント | 自分の開発範囲においてテクノロジーマネジメント | ... | ... | ... | ... |
プロジェクトマネジメント | 自分のタスク範囲においてプロジェクトマネジメント | ... | ... | ... | ... |
プロダクトマネジメント | ... | ... | ... | ... | ... |
ピープルマネジメント | ... | ... | ... | ... | ... |
設定したラダーに対して現在地を確認して、過去の経験をリストアップします。例えば「テクノロジーマネジメント」領域であれば、「テストを効率化するライブラリの提案、導入をして成果をあげられた」みたいなものです。ここからフォアキャスティングで次に進むためのアクションを検討します。
これを進めていくと最終目標である「エンジニアリングマネージャー」に対して、ラダーの「マイルストーン」が設定されます。
ラダーでステップを細分化することには、目標の明確化以外にも効果があります。人は目標を達成するとドーパミンという「快」の刺激が与えられます。つまり次の目標に向かうモチベーションが継続的に与えられる状況になります。
マンダラチャートの考え方
また目標の細分化という意味では「マンダラチャート*1」があります。9×9マスのマス目からなる、思考・発想のためのフレームワークで、大谷 翔平選手が活用していたことでも話題になりました。
中央に最終目標を記載し、周囲8マスに最終目標を達成するための条件を記載します。さらに外側の3×3マスのマスの中心に「最終目標を達成するための条件(=マイルストーン)」を記載します。その条件対して、具体的に実施していくタスクを書いていきます。
体系的な学習と目標
ここまで目標設定をどのように進めていくかについてお話しました。
ラダーやマンダラで細分化したタスクが実際の「学習内容」になります。突発的な学習では難しい体系的な学習は、「どうなりたいのか」を意識して分割していくことで、完遂しやすくなります。
また目標設定について考える段階で、他にやりたいことや自分の得意なこと、不得意なことが明確になることもあると思います。
しかし、一人でこのようなフレームワークを持ち出して目標設定しようとしても挫折しがちです。そこでオススメするのが、上長との1on1で進めていくことです(ポジショントークにもなりますが)。
上長は自分にはない視点を持っていることも多く、考えつかなかったラダーを提案してくれることもあります。また前述の通りバックキャスティングによる目標設定のデメリットとして、周囲の期待と乖離することがあります。上長と一緒に設定することで、周囲の期待との乖離を少なく進行することができます。他にも業務タスクの調整に協力してくれることもあるかもしれません。
私の実例
最後に私の実例を紹介します。
目標を立てたのは前職にいたころで8年くらい前です。バックキャスティングで立てた目標は「5年後に年収を倍にする」というものでした。
その目標を叶える要素として、Webアプリケーションエンジニアとしてのスキルアップを挙げました。具体的なタスクとして、個人的なアウトプットの開始(Qiitaへの記事投稿)、資格試験の合格(DBスペシャリスト)、外部カンファレンスへの参加(JJUG CCC)などを行いスキルアップを目指し、結局6年かかりましたが、目標を達成することができました。
まとめ
目標設定と体系的な学習の継続は切っても切れないものです。
周囲を巻き込みながら、自分なりの目標を立て、細分化し、好循環の中で進めていくことが成功への近道だと考えています。うまく目標設定を行い、継続的な学習を進めていきましょう!
余談ですが私は直近、「CTOになろうかな」と思っているため、それに向けて人事制度や経理関係の学習を始めています。
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toranoana-lab.co.jp
*1:マンダラチャートは一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。