こんにちは。虎の穴ラボの H.Kです。
虎の穴ラボには社員の技術書購入を支援する制度*1があり、このたび『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』を読み、とても良かったので紹介します。
読んだきっかけ
最近、ありがたいことにマネージメントをやるようになったのですが、自分の作業時間がうまく作れず、対応が後手に回ることが多くなってしまいました。
解決するためには時間をもっと有効に使う必要があると考えたことがきっかけです。
また、副次的に他のメンバーのタスク管理や作業時間の調整にも寄与できれば良いなと考えました。
基本情報
タイトル | YOUR TIME ユア・タイム |
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サブタイトル | 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術 |
著者 | 鈴木 祐 |
発行日 | 2022/10/19 |
発行 | 河出書房新社 |
ISBN | 978-4-309-30023-8 |
紹介ページ | YOUR TIME ユア・タイム(河出書房新社) |
本書の記載内容
序章〜終章までの合計6章で構成されています。
- 序章:時間術の罠に気づく
- 第1章:時間の正体を知る
- 第2章:未来をやり直す
- 第3章:過去を書きかえる
- 第4章:効率化から解き放たれる
- 終章:退屈を追い求める
読んだ感想
この本は一般的な時間術の本と少し違い、まずは既存の方法の否定から入ります。
時間術は先人の知恵が多くあるにもかかわらず、多くの人が悩み続けている事実から既存の方法が銀の弾丸ではないことを導出し、個人の特性に合わせた時間術を提案する構成です。
つまり、タスクの遅延の原因は人によって異なり、個別の対応が必要だということです。
それゆえに示された処方箋がなぜ必要なのか、他の方法ではなぜ効果が薄いのかが理解でき、納得感があります。
また、いかにタスクを整理しようと使える時間に限りはあり、最終的には「時間を効率的に使えたか」より、「時間を有意義に使えたか」を意識すべきとしています。
2022年10月発売の本ですが、動画の倍速視聴について警鐘を鳴らしていることが印象的でした。
オススメできるところ、理由
まずは箇条書きでオススメできるところを示します。
- 文章が読みやすい
- 翻訳本ではない
- すぐに実践できる
- いろいろな手法を学べる
- 自分の特性の理解に役立つ
実際の処方箋
この本では、予定された時間内にタスクが消化できないのは、未来の予想が甘いことや、過去の経験ベースによる見積(自己評価)がズレていることが原因としています。
そこで、予想/見積のズレを診断し、その結果をもとに、実施すべきものを決めていきます。
診断は次のリンクから誰でも受けることができます。
www.kawade.co.jp
私の場合は未来のタスクについて「容量超過」、過去の事実について「自信家」という診断結果になりました。
容量超過については、『価値の低いタスクを見つけ優先順位を整理する』、『「遊び」の予定を事前に登録する』といった、容量を減らすエキササイズが提案されています。
一方で自信家については、『実際のタスク時間を計測しムダな時間がないか確認する』、『誘惑に負けたことを記録する』といった、成功したと思っている中で問題点を認識することを目指します。
このように未来と過去に対する考え方によって、エクササイズを変えて予定通りに作業を進行できるようにしようというのが、この本です。
時間を有意義に使うということ
読み始める前は、この本で「より効率的に業務を進めよう」、「あわよくばメンバーにも知見を共有し効率化を進めよう」なんて考えていました。
しかし、読み進めるうちに効率重視により効率が落ちることや、一律の方法論では難しいことを学び、持続可能な開発(本書内では持続可能な生活と紹介されていました)を目指すことが重要だと再確認しました。
最終的にはこのような本を輪読する時間などを作り、スケジュールに余裕をもたせられるようにチームメンバーと協力していく体制を作っていこうと思いました。
各章の紹介
少しだけ各章のトピックを紹介します。
序章:時間術の罠に気づく
世に出ている時間術の不都合な真実、つまり全員に効果があるものではないことが示されています。
効率よりも幸福度を高めることを目的にすべきと書かれています。
第1章:時間の正体を知る
この章ではそもそも時間とはなにかということを考えていきます。
目、耳、鼻など感覚器官で知覚できない「時間」は現在の状況から予想した結果発生したものと考えられ、「予想」(本書内では未来を予期、過去を想起と定義されています)を正確にすることで、より正確に時間を捉えることができるようになるとしています。
第2章:未来をやり直す
具体的に「未来の予想」の精度を高める手法が、診断結果のタイプごとに記載されています。
第3章:過去を書きかえる
未来の予想についての対処法が書かれた2章に対して、3章では過去についての対処法が記載されています。 もちろん診断結果のタイプ別です。
第4章:効率化から解き放たれる
時間をうまく使えるようになっても、時間自体が増えるわけではないので、その上で求めすぎた効率化から脱却するためのエクササイズが記載されています。
終章:退屈を追い求める
他の民族の時間に関する考え方を例にとって、「時間の流れ」に対する考え方についても必ずしもひとつではないことを示し、より豊かに生活していくための考え方が書かれています。
まとめ
この本は、以下のような人が読むと、時間を豊かに使う手助けになるように思えました。
- 時間について曖昧に考えていた人
- 効率を目指しがんばっている人
- 少しでも時間を有意義に使いたい人
本書の最後に「ほどほどに頑張る姿勢を意識してください。」とあります。
時間に追われがちな現代ですが、『YOUR TIME』を読んで、時間に対する考え方や豊かな時間について、考えてみるのはいかがでしょうか?
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