虎の穴開発室ブログ

虎の穴ラボ株式会社所属のエンジニアが書く技術ブログです

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刺繍ミシンで日本語を刺繍しよう

こんにちは! 虎の穴ラボ エンジニアのgodanです。 本記事は虎の穴ラボ2024年夏の連載ブログ 12日目の記事です。昨日は後藤さんの「TensorFlow.js で顔のランドマーク検出してみた」でした。

今週は「見た目でわかるビジュアル系!」ということで最近ちまちまとやっている刺繍の話をします。
ソースコードなどは一切出てこない趣味の話です。

刺繍ミシンとは

名前の通りですが、刺繍を施すことができるミシンの総称です。 その中でも一部のミシンはPCに繋いで任意の模様や柄を刺繍する事ができる機能があります。有名な機種だとブラザーの「Family Maker」シリーズやジャノメの「ハイパークラフト」など様々なメーカーから発売されています。

今回、自分はブラザーのInnovisを中古で安く購入できたため自分の欲求のままにオリジナル刺繍を作っています。

初星学園警備部ワッペン(妄想)

最近は自分がサバゲーで使う用にオリジナルワッペンや腕章に刺繍をしています。

刺繍ミシンとOSS

ミシンといえどプリンターのように好みのイラストや柄を送信したら自動で刺繍してくれるわけではありません。刺繍をするにはどこに針を落とすのか、どの順番で動くのかという刺繍専用のデータを作成する必要があります。

まず、刺繍データには共通規格がありません。各メーカーごとに独自の規格を持っています。そして、各社ごとに刺繍データ作成のソフトを販売していますがなかなか気軽に購入できるものではありません。メーカー以外にもいくつか無料や格安で使えるソフトがあるので、まずはそこから使うことにしました。今回は、その中でも一番情報量が多く、OSSで開発されているInk/Stitchを自分は採用しました。

Ink/Stitchとは

Ink/StitchはフリーのドローソフトであるInkscapeの拡張機能として開発されています。
フリーでありながら高機能で、ジャノメやブラザーなど各種タイプのデータを出力することができます。

github.com

いくつかの刺繍方法に対応しており、SVGデータやベクターデータを刺繍用のデータに変換できます。

作業の流れを紹介するにあたってFantiaのロゴを刺繍してみます。 まず、画像を刺繍用に色を減らします。今回は手間数削減のため単色にします。

抽出したシルエットをInkscapeに持ち込みます。 プレビューを見ると見事に刺繍用のデータになっています。

あとはミシンに刺繍データを送って……刺繍開始!!! ウォぉぉぉ。

  10分ほどミシンを走らせて完成したのがこちらになります。

結構様になっていますね。

日本語を刺繍したい

これであれば刺繍で布に名入れができそうです。Ink/Stitchには刺繍用のフォントが同封されており、文字情報から刺繍用のデータに起こすことができるのですが……

フォントに日本語対応のものがありません。

これには困りましたが公式で独自フォントを作成する手順が公開されています。

inkstitch.org

今回はこの手順に従ってM Plusフォントを刺繍用に変換していきました。変換のもとにはM Plusフォントをストロークフォント(CADなどに使用するフォント)に変換してくださっていたAZO様のサイトからお借りしました。

domisan.sakura.ne.jp

一文字ずつ刺繍用に変換していきます。かなり地道な作業です。将来的には漢字に対応したいところですが作業量が膨大になるので今回はひらがなだけに絞ります。

作業を終えてInk/Stitchでフォントデータを読み込んでみると……自作の日本語フォントが読み込まれました……!

さっそくデータを流し込んで刺繍をしてみると……!

何とかひらがなを刺繍できるようになりました。お試しなので線の太さにばらつきや刺繍順序に難がありますが、調整をしたら使い物になりそうです。
今回変換した刺繍データは"japanese-fonts-for-stitch"として下記のリポジトリに公開しています。もし刺繍ミシンを買ったら試してみてください。将来的にはよく使う漢字は対応したい……!

github.com

終わりに

広く広がるOSSの海にあるミシンの世界をご紹介させていただきました。奥が深く沼が広いミシンの世界にぜひ足を踏み入れてみませんか……? 私はこの沼にしばらくとらわれることになりそうです。
日本語刺繍フォントは片手間で文字を増やしていこうと思っていますので、ぜひほしい文字などをIssueに書いてくださると嬉しいです。一緒に刺繍を楽しみましょう。

明日はm.mさんで「画像ファイルをまとめてWebPに変換しよう!」です!お楽しみに!