こんにちは、虎の穴ラボNSSです。
今まで私は、サーバーレスの勉強の一環として、AWS Lambdaを使ったWebアプリケーションの作成方法を、本ブログやとらラボの同人誌等で紹介してきました。
しかし、サーバーレスに関するサービスはAWS Lambdaだけではなく、他にもたくさんあります。
その中で今回は、AWS Fargate(以下Fargate)を使って、2020年5月時点の最新Rails開発環境をFargateで作って見たいと思います。
...と思っていたのですが、Fargateを利用するには、いくつか前提となる知識が必要になることがわかりました。
前提となる知識は、
- コンテナ・Dockerの知識
- Amazon ECR、ECSの知識
- Fargateの知識
などです。
全てを説明すると長くなってしまうので、何回かに分けて説明していきたいと思います。
何回になるかわかりませんが、最終的にはFargateでRailsのアプリケーションを公開することを目指します。
今回の記事では、第一回としてDockerでRails環境を構築する手順をご紹介したいと思います。
1. AWS Fargateとは
AWS Fargateは、サーバーやクラスターの管理をほとんど必要とせずにコンテナを実行するためのサービスです。
コンテナを実行するサービスなので、前提としてコンテナ・Dockerの知識が必要になるわけです。
2. Dockerとは
Dockerとはコンテナ技術を利用した仮想化技術の一つです。コンテナ上でアプリケーションの開発・実行をするオープンソースソフトウェアです。
2020年5月時点において、「コンテナといえば?→Docker」というくらいメジャーなソフトです。
3. Dockerの設定
早速、Dockerの設定をしていきます。
今回の実行環境は以下の通りです。
実行環境
- macOS Mojave 10.14.6
- Docker 19.03.5
- docker-compose 1.25.2
構築する環境
- Ruby 2.7
- Rails 6
- MySQL 8.0
まず、Dockerをインストールします。
Macであれば、Docker Desktop for MacをインストールすればOKです。
インストールできたら、今回のアプリケーションを作成するディレクトリを任意の場所に作成します。
$ mkdir docker_rails
続いて、各設定ファイルを作成していきます。
Dockerfile
Dockerイメージを作成するための設定ファイルです。
行の先頭の大文字が命令で、続く小文字が引数です。
命令は小文字でも書けますが、区別するために大文字で書くのが通例のようです。
FROM ruby:2.7 RUN curl -sS https://dl.yarnpkg.com/debian/pubkey.gpg | apt-key add - \ && echo "deb https://dl.yarnpkg.com/debian/ stable main" | tee /etc/apt/sources.list.d/yarn.list RUN apt-get update -qq \ && apt-get install -y nodejs yarn \ && mkdir /docker_rails WORKDIR /docker_rails COPY Gemfile /docker_rails/Gemfile COPY Gemfile.lock /docker_rails/Gemfile.lock RUN bundle install COPY . /docker_rails COPY entrypoint.sh /usr/bin/ RUN chmod +x /usr/bin/entrypoint.sh ENTRYPOINT ["entrypoint.sh"] EXPOSE 3000 CMD ["rails", "server", "-b", "0.0.0.0"]
Rails6の特徴として、Webpackerが標準のJavaScriptコンパイラとなったため、
Webpackerをインストールするためのyarn、
yarnをインストールするためのnode.jsをインストールする必要があります。
Dockerfileの記載についてはこちらのDockerfileリファレンスも参照すると理解が深まります。
Gemfile
Railsではおなじみのファイルです。まずはRailsを入れたいだけなので次のように、記載します。
source 'https://rubygems.org' gem 'rails', '~>6'
Gemfile.lock
この時点では、空のファイルのみ作成します。
空ファイル
entrypoint.sh
コンテナが実行されるたびに起動するシェルです。
server.pidというファイルが存在するとRailsが再起動しないため、削除します。
#!/bin/bash set -e rm -f /docker_rails/tmp/pids/server.pid exec "$@"
docker-compose.yml
Docker Composeは、MySQLやRedisなどのアプリケーションを構成する複数のサービスを一括で定義・実行するツールです。
docker-compose.ymlに、アプリケーションを構成する各サービスを定義することで、
独立したサービスを一斉に実行できます。
version: '3' services: db: image: mysql:8.0 environment: MYSQL_ROOT_PASSWORD: password ports: - '3306:3306' command: --default-authentication-plugin=mysql_native_password volumes: - mysql-data:/var/lib/mysql web: build: . command: bash -c "rm -f tmp/pids/server.pid && bundle exec rails s -p 3000 -b '0.0.0.0'" volumes: - .:/docker_rails ports: - "3000:3000" depends_on: - db stdin_open: true tty: true command: bundle exec rails server -b 0.0.0.0 volumes: mysql-data: driver: local
4. Dockerイメージの作成
ここまでできたら、次のコマンドを実行してRailsのアプリケーションを新規に生成します。
$ docker-compose run web rails new . --force --no-deps --database=mysql --skip-test --webpacker
docker-compose run
で、指定したサービスに対して、コマンドを1回実行できます。
- --force : ファイルを上書きします
- --no-deps : リンクした他のサービスを起動しないようにします
- --database=mysql : DBにMySQLを指定します
- --skip-test : Railsのデフォルトテストツール
Minitest
を生成しないようにします - --webpacker : Webpackerに対応したアプリケーションを生成します1
続いて次のコマンドを実行して、Dockerイメージを構築します。
$ docker-compose build
5. Dockerコンテナの実行
rails new
で生成されたdatabase.yml
を次のように修正します。
- database.yml
default: &default adapter: mysql2 encoding: utf8mb4 pool: <%= ENV.fetch("RAILS_MAX_THREADS") { 5 } %> username: <%= ENV.fetch("MYSQL_USERNAME", "root") %> password: <%= ENV.fetch("MYSQL_PASSWORD", "password") %> host: <%= ENV.fetch("MYSQL_HOST", "db") %> development: <<: *default database: docker_rails_development test: <<: *default database: docker_rails_test production: <<: *default database: docker_rails_production username: docker_rails password: <%= ENV['DOCKER_RAILS_DATABASE_PASSWORD'] %>
修正したら、次のコマンドでデータベースを作成します。
$ docker-compose run web rake db:create
次のコマンドでコンテナの作成・実行します。
$ docker-compose up
docker-compose.ymlで記載したDBとWebアプリケーションのコンテナが順に実行されます。
localhost:3000にアクセスします。 うまくいっていれば、Railsの画面が表示されています。
6. まとめ
今回はDockerを使ったRails6+MySQL8.0環境の構築をご紹介しました。
いままでは、新しいアプリケーションを作成するたびに環境構築を考えなければなりませんでしたが、
今回の方法を使えば、一部のファイルをコピー、修正するだけで、
ある程度の環境を構築することができます。
とはいえ、ゴールはFargateにデプロイしてアプリケーションを公開することなので、
引き続き、勉強していきたいと思います。
参考にさせていただいたサイト・記事
P.S.
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prtimes.jp
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今回とあまり関係ありませんが、新規のプロジェクトにReactやVueなどを使用する場合、–webpack=reactなどと設定するようです。↩